2024年2月24日土曜日

映画 鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎

 連休なので普段できないことをしようと考えたが、天気予報があまり良くないので、遠出したりアウトドアで楽しむことでなくできることを検討した。そして、映画を見に行こうと考えついた。米子や岡山のシネコンだったら何かあるだろうと思って調べてみたのだが、地元の鳥取シネマで『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を上映していることがわかった。この映画、派手に宣伝はされていないが、口コミで評判が広がりヒットしているとのこと。鳥取シネマでは10時から1日一回のみの上映だ。9時半に映画館に行って劇場に入ったら、私が最初の客だった。その後、親子連れなどが少しずつ入ってきて、上映が始まる頃には20人程度の観客になった。それでも収容人数の10分の1ぐらいではあるのだが、観客が一桁のことがザラな映画館なので、まあまあ人気があることが伺える。

 PG12作品ということで、確かに小学生ターゲットのTVアニメとは全く異なるテイストでつくられている。私はテレビの第1シリーズからオンタイムで見ていた世代で、原作漫画も大方読んでいる(内容はあまり頭に残っていないが)。境港の水木しげる記念館にも何度か行って、水木しげるの世界観をある程度は理解しているつもりでいる。そんな古参の世代が見ても違和感のない作品になっているのは制作者の深い理解と熱い思いがあってのことだとわかる。猫娘が美脚の美少女であったり、重要キャラである沙代が明らかに水木キャラでないのも、これが令和のアニメであることを考えれば十分納得である。

 ストーリーは、謎の薬を巡るミステリーに鬼太郎の父親の最後の戦いを絡めたものだ。鬼太郎の母親の姿には「こんなんだっけ?」と最初思ったが、死に際の床に臥せた姿に「ああ、こんなんだった」と納得してしまった。鬼太郎が生まれた時代(水木しげるが生きていた時代)背景を上手くストーリーのベースに取り入れて、大人の観客が満足する物語にしている。そして、作画はさすが劇場映画クオリティー、細部までこだわっているし、動きも良い。特に鬼太郎父が屋上バルコニーで派手に立ち回るシーンの躍動感は感動的だった。地底に咲く赤い桜も不気味に美しく印象的だった。「原点にして最恐」というコピーは期待を裏切らないものだ。第47回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞というのも納得、名作アニメとして後世まで語り継がれてほしい。