2024年6月30日日曜日

2024年4~6月アニメ 振り返り

この期は、人気シリーズの続編がいくつかあって、それ以外は超注目作というのはなかったのだが、蓋を開いてみるとオリジナル作品がクオリティが高く、充実していた。ガールズバンドものがいくつかあって、それぞれ演奏シーンの作画や楽曲クオリティーが高く、レベルアップしてきたなぁというのも感じた。

◎ガールズバンドクライ
 熱い魂の叫びを感じさせる熱血ガールズバンドストーリー。登場人物がそれぞれ悩みや葛藤を抱えながら、本気でぶつかっていく姿が気持ち良い。CGアニメは良く動くのだが、CG動作の癖みたいなのが時々気に掛かる。現実のバンドともリンクしているが、声優がバンドをやっているぎこちなさや、ミュージシャンが声優をやる不自然さを一切感じないところはスゴイ。

◎怪獣8号
 今期で一番ワクワクしながら見ているのがこの作品。人が怪獣と戦える力を獲得しようともがいている中で、一足飛びに怪獣の力を持ってしまった人間はどうするのか、どうされるのか。その展開が気になって仕方がない。怪獣デザイン・ワークスにスタジオカラーや前田真宏氏を起用しているのも嬉しいポイント。

◎夜のクラゲは泳げない
 その辺のバンドものとは違って、ネット時代のクリエーターに焦点を当てた青春ストーリー。主人公が絵師だというのも新しい視点だと思う。登場人物が人間関係で様々な悩みやトラブルを抱えていながら、それに立ち向かう姿は今の多くの若者を投影しているのだろう。楽曲が40mPというのもこのコンセプトにぴったりだったと思う。

○転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます
 第1話時点でショートパンツのムチムチ男子である主人公に、「これだったら、女の子主人公にすればいいのに」と感じて切りかけたが、作画の良さやチートな魔術の繰り出し方に惹き込まれてしまった。主人公が少年なのも年上のおねえさんを魅力的に描くためだと納得できた。

○終末トレインどこへいく?
 この話は一体どこを目指しているのかわからないまま、幻想の世界を列車が走り抜けていく、なんだか不思議な物語だった。結局は友達とのいさかいによる心の闇がが世の中を捻じ曲げてしまい、それを元に戻そうと苦闘する「セカイ系」物語なのだなと気がついた。こういう作品も1クールに1本ぐらいはあってほしい。

○狼と香辛料 MERCHANT MEETS THE WISE WOLF
 昔放映されたアニメのリメイクだということだが、時代設定が現代でないためか、「うる星やつら」リメイクのような古臭さは感じない。経済をテーマに扱っているのが自分的には新感覚。イマイチぴんと来ない所も、Youtube「赤ペンチャンネル」の解説で理解できた。

○響け!ユーフォニアム3
 ド・ストレートな青春部活アニメ、作画は京アニのハイクオリティー!登場人物の微妙な感情の動きを丁寧に描いている。あまりにも演技が真に迫っていて、息苦しくなるほどだった。CGも手書きと上手に馴染んでいて全く不自然さを感じなかった。同じくNHKでやっていたオーケストラ部が舞台のアニメには見習ってほしい。

○この素晴らしい世界に祝福を!3
 人気シリーズの第三弾、相変わらず作画クオリティはイマイチなのだが、テンポの良さと声優の演技の巧みさで楽しく観ることができた。

○声優ラジオのウラオモテ
 声優に声優の演技をさせる、お仕事アニメ。声優というのは今の若い人たちのあこがれの職業の一つなのだろうな。だからこそそれを舞台に苦悩する青春ストーリーが成り立つわけで、けれども声優への憧れを失わせないような配慮もあるわけで、おじさんからすると、イマイチ感情移入できない部分もあるのだ。

○転生貴族、鑑定スキルで成り上がる
 人の能力を数値で見ることができたら、という、これもゲームの要素をチートな能力として取り入れたストーリーだ。登場人物が個性的で能力のある人物を懐柔していくプロセスや、その能力を活用して困難を乗り切っていく戦略が楽しめた。

○変人のサラダボウル
 異世界から転生してきた王女がこの世界で新しい人生を楽しむ物語+体力と剣術だけが取り柄の女騎士が一見平和なこの社会で底辺から逞しく人生を掴みとっていく話。この作品の秀逸なところは舞台が岐阜という地方都市で、扱われる話題は現代の様々な社会問題で、その中で失敗をしながらも乗り越えていく様子が軽いテンポで描かれているところだ。実は社会派アニメなのだった。

○魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?
 ヒロインエルフのネフィが可愛くてニヤニヤしてしまう、チート魔王の無双話の皮を被った、おくて男女のほのぼのラブコメ。途中から久野美咲演じる幼女が参戦してくるあたりが更にあざとい。

○無職転生 Ⅱ ~異世界行ったら本気だす~ 第2クール
 作画品質が低下したかなと感じる場面が時折ある。戦闘シーンの疾走感はなかなかのものだが、日常シーンでカロリー削減している感が見え見えだ。ま、緩急あるのもやむを得ない。ストーリーとしては、新婚生活に妹二人が転がり込んできて、家族とは何かを考えさせる展開になっている。なかなか奥が深いわ。

○魔法科高校の劣等生 第3シーズン
 これも人気シリーズ、早見沙織もすっかり人気声優になって初期に連発していた「さすがです、お兄様」というセリフがとんと聞けなくなってちょっと寂しい。原作イラストの石田可奈さんがアニメ版のキャラデザから総作監までやっていて、そりゃ作画品質が良いわけだ。

○ゆるキャン△ SEASON3
 制作スタジオ、キャラクターデザインが変更になったが、ストーリーは相変わらず「ゆるキャン」だ。ただ、今期はサークル活動というより、やや旅行やキャンプの話題が多くなってちょっとアクティブな印象になっている。正直キャラデザは以前の方が好みだが、原作に寄せてきたということで、そこは尊重しよう。

○転生したらスライムだった件 第3期
 人気シリーズなのだが、第2期は各勢力の駆け引きが楽しめなくて、視聴が続かなかった。今期も最初の辺りの会議室での戦略会議や敵勢力との駆け引きがややまどろっこしい感じはしたが、ヒナタとどう和解しあえるかというポイントが気になって、視聴を続けることができた。

○ワンルーム、日当たり普通、天使つき。
 1人暮らしの男子のところで美少女と同棲することになってしまうという、「押しかけ女房」ものラブコメディー。天使だけでなく雪女や吸血鬼、河童も出てくるなか、普通の人間の幼馴染も出てくるあたりが良いバランス。時々舞っている天使の羽根が、根元の所にフワフワがついている水鳥の羽根なのが自分的には目から鱗だった。

・じいさんばあさん若返る
 放送曜日の関係で何となく見てしまっていた。ほっこりする田舎の日常系ファンタジー(?)。若返りの謎解きが展開されるかと少し期待する場面もあったが、けっきょくその辺りはうやむやで、おとぎ話の一節という扱いになっていた。ま、それでいい。

・Re:Monster
 人間の何倍もの速さで成長するモンスターで、人型モンスターの中では最弱の扱いを受けているゴブリンを主人公にした、建国物語。時間の進み方がゲームのそれで、時間のかかる修行や鍛錬をサクサクこなしてしまうところがテンポの良さ、展開の早さなんだなと気付いた。

・ささやくように恋を唄う
 いい感じで物語が進行していて、「百合」モノ青春ストーリーの甘酸っぱさを感じていたのだが、制作側の内部事情で作画が崩壊し進行が中断してしまった。別にストーリーの先が気になるとかではないのだが、ちょっと残念。