今期は完走した作品がいつもよりやや少なかったような気がする。仕事のイベントや身内の厄介ごとがあって中断した期間に、どうしても見たい作品以外は視聴を止めてしまった。スゴイ注目作は無かったが観ているうちに、あ、こういうの好き、と自覚できる作品がいくつかあった。アニメにはアニメらしくあってほしい。単なるラノベを動画にしたものとか ××記念作品とかではなく、きちんと伝えたいことを絵と動きと物語で感じさせてほしい。そういう意味ではアニメらしい良作を見ることができたクールだったと思う。
◎戦国妖狐千魔混沌編時代劇バトルファンタジー!世直し姉弟編 の主人公が脇役に、敵役だった子が主人公となり、生きる意味、戦う意味について悩みながら成長していく壮大な物語だった。水上悟志の原作も当然良いのだろうが、脚本の花田十輝は今ノリに乗っているライターだ。今年放送されたシナリオは100を超えているらしい。最近、話の途中で終わってしまうアニメが多い中で、きちんと最初から最後まで物語を描き完結した、アニメのあるべき姿を体現してくれた作品だと思う、ありがとう。
◎ダンダダン
え?これが最終回?「2期制作決定」とはあるが、こんな中途半端なところでインターバルを開けないでくれ、何なら前回を1期最終回としてくれ。今期最も熱量の高かったアニメで、作画で不安になる場面も若干あったが、予想を超える展開とアクションでずっと惹き付けてくれた。2期はよはよ。
◎メカウデ
異世界(異次元)の機械生命体との戦いと友情、結局悪いのは傲慢な心を持った人間、という、少年漫画でよくありそうな設定とストーリーを迫力ある作画と澤野弘之の壮大な音楽で感動的に仕上げてきた、実にSFアニメらしい作品だった。こういうアニメは毎シーズン欲しいな。
○2.5次元のリリサ
コスプレスポコン!アニメで、なかなか熱い展開だったが、終盤になってこのアニメオタクたちの出自をえぐるようなストーリー展開になってストーリーに厚みが増した。鈍感系主人公が恋に無関心なのもきちんと理由がありそうだとわかり、またそれを乗り越えて人間として成長する姿を描いていてよかった。
○ネガポジアングラー
もっと釣りを楽しむアニメかと思っていたが、ダメ人間が釣り好きな人々と関わるうちに少し前向きになっていくという話だった。女の子はヒロインではなく、ただ釣りが人生の変わり者で、本筋はヒロとタカアキの物語だ。釣りの描写はリアルでずいぶん力が入っていたが、そこが本筋でないというある意味スゴイアニメだった。
○妻、小学生になる。
妻が死んで10年後に小学生として現れるというストーリーをコメディーではなくシリアスに、夫婦、親子の関係はどうして築かれるものなのかと、家族関係の本質をしっかりと考えさせられた、なかなかの力作だった。パーソナリティーというのは姿かたちではないというのを作画や演出で表現できるアニメスタジオの実力も実感できた。
○転生貴族、鑑定スキルで成り上がる 第2期
自分が最強になるのではなく、チートな能力で従えた最強の部下の活躍で勝ち上がっていくという、ある意味経営戦略ストーリーだ。部下の力を引き出すためにはリーダーの人望が無ければならないという、本質的なところもきちんと筋が通っている。こういう話はとかく会話が中心になってしまって絵が映えないのだが、周りの人物の活躍を上手く魅せて痛快な物語だった。
○株式会社マジルミエ
魔法少女を会社業務として捉えたのが新しい視点で、物語のテンポがよく、魔法少女の活躍が楽しみだった。このクールは主人公成長としてスッキリまとめられていた。この世界観での物語の展開はいろいろと期待できそうで、制作が決定したという2期も楽しみだ。
○歴史に残る悪女になるぞ
最終回の「そんなの私が望む"悪女"じゃない!」というセリフがこの物語の本質なのだろう。転生したからには自分が憧れていたカッコイイ女性になりたい、と、新しい人生を演じる主人公。けれど結局、この子は一人で国外追放されて何がしたいのかがよくわからない。
・君は冥土様。
元殺し屋がメイドとして押し掛けてくるという、現実にはあり得ない設定がファンタジーなのだが、そこさえ受け入れてしまえば、無自覚押しかけ女房ものとしてなかなか面白いラブコメだった。だが、設定(世界観?)がありえなさ過ぎて、今一つ物語に入り込めなかったのが残念。作画は安定していて良かったんだけどな。
・魔法使いになれなかった女の子の話
パステルカラーの絵本のような魔法世界ファンタジー。作画枚数は少ないがそれぞれのカットが絵本の1ページのようでほのぼのと楽しむことができた。最後の引きが、物語の続きを予感させるが、原作小説があるという訳ではなさそうだ。上手くいけば続編も…ということなのだろうが、制作側の思惑でひっかきまわすのではなく、それこそ、絵本のシリーズにでもしてほしい。
・パーティーから追放されたその治癒師、実は最強につき
ヒロインのナルセイナが元気で可愛い。ただそれだけで1クール完走してしまった。ストーリーは凡庸で作画もいろいろと気になる所があったが、ヒロインだけは常に可愛く元気にふるまっていた。そんなアニメがあってもいいさ。
・ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインII
ゲームとはいえ、女の子たちが銃で殺しあう、何とも殺伐とした世界だ。バトルゲームに馴染んでいる人たちには違和感はないのかもしれないが、ゲームをほとんどやらない私には正直、救いを見いだせないストーリーだった。
※まだ途中で評価が定まらない作品
○チ。 ―地球の運動について―
NHKらしい歴史科学アニメ。拷問シーンとかは刺激が強すぎて小学生には見せられない。しかし、過去にはこんな理不尽なことも実際にあったわけだし、現在でも地球上のどこかではこれに類するようなことがきっと行われているのだろう。過去を、現実をきちんと直視することの困難さと、真理の追及に勇気が必要なことを教えてくれる。
○アオのハコ
爽やか青春ストーリー。部活に打ち込む高校生の、部活と恋愛だけではないリアルな学校生活の様々な営みを丁寧に描き出している。自分の高校生時代を振り返ると、いろいろと大変なこともあって早く大人になって独り立ちしたいと思っていたが、今にして思えば、様々な可能性が広がっていてどんな方向にでも進むことができた、かけがえのない年代だったなぁと懐かしく羨ましく、そして少しの後悔も湧き上がってしまう、そんな作品だ。
○るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 京都動乱
人気漫画・アニメのリメイク作品。前作をほとんど見ていないので、オリジナル作品として楽しめた。時代劇なので、特に古さは感じられないところが良いセレクトだったと思う。あと1クールぐらい続くようで、だんだん盛り上がってきたところ。
○「Re:ゼロから始める異世界生活」3rd season
観るのに勇気が要るグロい場面もあるのだが、それを乗り越えて何度も失敗しながら完走ルートを切り拓いていくのがこの作品のスタイルだ。今回も観ていて辛い場面がいくつもあるが、やっと反撃が始まったと思ったところで過去回の再放送が続いている。速くスッキリさせてくれ。