2026年10月4日日曜日

2026年7~9月アニメ振り返り

 今期はなかなかの良作ぞろいだったように思う。最近の流れとは少し方向性の違う、それでいて意欲的な力作がいくつも見られた。また、人気声優がこれまでのイメージを覆すような役回りを演じていて驚くようなこともあった。日本のアニメはすごいなとあらためて実感させられたクールだった。

さよならララ

◎さよならララ
 良い作品だった。絵柄がイマ風でなかったり、最後が断ち切れていて物足りなかったりはするし、人魚と人間の因縁は解決していないが、それがこの作品世界について更に深く考えてしまう余韻となっている。似たような絵柄、世界観の作品が溢れる中で、異質な存在でありながら心に残る作品となった。

◎ふつつかな悪女ではございますが
 これはテレビではやってなかったのかな?Youtubeのアニメ解説動画で面白かったというのを聞いて探してみたら、AmazonPrimeに登録されていたので観てみた。いちど見始めたら面白くて、土日で11話(最終話)まで観てしまった。体と心が入れ替わるという設定はときどきあるのだが、意図せず入れ替わってしまった被害者が新しい体に喜んで大活躍するという新しい切り口の後宮ミステリーだった。作画も丁寧で美しかった。

天幕のジャードゥーガル
◎天幕のジャードゥーガル
 大モンゴル帝国を舞台とした、歴史ミステリーと言っていいのかな?なかなか壮大な作品だが、そのサワリの部分を1クールで映像化してくれた。こういう作品ができる懐の広さがあるから日本のアニメは世界で評価されるんだろうなと思う。制作はサイエンスSARU、ここの作品は外れが無い。続編が制作されることを期待したい。

◎無職転生Ⅲ ~異世界行ったら本気だす~
 前半はルーデウスの幸せな日常パートで、正直物足りない感じがした。しかし終盤になって物語が怒涛の大展開、これから一体どうなるのか、観ているこっちがおろおろとしているところで分割2クール後半までお預けになってしまった。原作の筋書きも素晴らしいのだが、それを映像化するアニメスタジオの技術に裏打ちされた、執念と言っても良いほどの熱い想いが伝わってくる。続きを楽しみに待とう。

◎二十世紀電氣目録-ユーレカ・エヴリカ-
 京都アニメーションらしい高品質アニメ、作画が緻密で綺麗なのに加えて物語の盛り上がりや演出もさすがだった。CGの使用がやや過剰に感じる部分や演出にやりすぎ感を感じる部分もややあったが、京アニの新しいことへの挑戦への意欲を感じさせるものだった。

◎片田舎のおっさん、剣聖になるII
 おっさん、それも「先生」と呼ばれる主人公には共感と共に羨ましさを感じる。ただ、慕われるだけの主人公ではなく様々な出来事を通して自分自身も成長している。私自身も”おっさん”、見習うべきことも多い。主題歌はユニコーン、やっぱ、おっさんをターゲットにした作品なのかな。

◎「逃げ上手の若君」第2期
 歴史物語をこんなに高品位なエンターテインメント作品に仕上げている。さすがはCliverworks、作画だけでなく演出やキャラクター設定がぶっとんでいてワクワクする。まだまだ物語は続くようだ。楽しみに待とう。

◎これ描いて死ね
 私も少年時代はマンガ好きの子供だった。拙いながらマンガを描いてみたこともある。学生時代には仲間とコミケにも行った。そんな頃の思い出がよみがえる作品だった。先生の回想と現在の姿、生徒を見つめる眼差しにうるっとくるものがあった。シンエイ動画の良さが発揮された作品だと感じた。2期も制作決定したらしい。ここまででキレイにまとまっているだけに、今後何が起こるのか楽しみなような不安なような。

○攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL
 伝説のSFサイバーアクション漫画をほぼ原作通りにアニメにしたという作品、原作は35年以上前に描かれたものなのだが、世界観の構築が素晴らしい。敢えて昔懐かしさを感じさせる絵柄に仕上げている辺りもアニメスタジオの原作リスペクトとこだわりを感じる。時々画面の端に出てくる小解説はビデオを一時停止しないと読めないと思うのだが、動体視力の良い若者は読めるのだろうか?

乙女怪獣キャラメリゼ
○乙女怪獣キャラメリゼ
 ラブコメと怪獣を掛け合わせたこれまでにない異色作品で、最初は違和感が出るのではないかと心配していたが、ラブコメ自体は王道ストーリーで、CGによる怪獣は心配していた安っぽさは無く、人物から浮いてしまうこともなく上手に作画されていた。コミックスは10巻まで出ているそうで、この品質ならぜひ続きを見てみたい。

○対ありでした。~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~
 お嬢様が格ゲーまみれになる話。最終回になってやっと百合の雰囲気が出てきたものの、これは全くもってスポーツバトルものだった。対戦画面がゲーム画面そのもので、それはリアルである反面、アニメで延々とゲーム画面を流すのがどうなのかと思ったりもした。

○幼女戦記II
 近世ヨーロッパ史の知識があれば更に楽しめたんだろうなと思わせる作品。魔導士の存在というフィクションを戦いの歴史の中に組み込んで、歴史を再構築している。私にとっては異世界召喚とほぼ同等なのだが、世界観が重厚でストーリーに見入ってしまうのはさすがだと思わざるを得ない。

○ワールド イズ ダンシング
 
ダンス(舞)と歴史という、これまでなかった組み合わせを楽しませてくれた。余分な情報をそぎ落とした作画とアクションは実写でもCGでも実現できない、画力のあるアニメーターの手書きならではもので圧巻だった。

○グロウアップショウ ~ひまわりのサーカス団~
 時代設定は昭和の終わり辺りかな?サーカスが身近なエンターテインメントとして繫栄している世界での父と子の確執、仲間と共に成長、ライバルとの対決、逆境を乗り越えて成功を掴む、といった様々な要素をぎゅっと詰め込んで明るく仕上げた作品だった。A1-Picturesの実力は以前から買っていたが、期待を裏切らない作品だった。

○クレバテスⅡ-魔獣の王と偽りの勇者伝承-
 第1期から舞台が大きく変わって魔法学園ものになったのだが、それを可能にする「魔獣王」の絶対的な魔力がこの物語の根幹なのだと思う。前作の勇者と魔獣王の関係から、魔獣王同士の確執と戦いにシフトして世界観が更に重厚なものになったように思う。この先どんな設定になってももう、受け入れるしかないだろう

○追放された転生重騎士はゲーム知識で無双する
 独特の髪の毛のなびきや、CGを多用した緻密な作画、大胆な構図でのアクションなど、一目でわかるGoHandsらしさが好きだ。毎回町並みの俯瞰から廻り込んで近付いていく構成や、アバンやCM後に前回のシーンを繰り返して尺を稼ぐ流れなど、展開が遅く本編がなかなか先へ進まない点は不満だが、アクションが派手で視点がグリグリ動く映像に目が離せない。ストーリーよりも映像を楽しみたい。

○「株式会社マジルミエ」第2期
 「魔法少女」といっても、職業としておこなっていることなので、みんな20歳は過ぎているだろう。その辺の女児向けの魔法少女ものとは少し傾向の違う”お仕事もの”アニメだ。努力・友情・勝利を魔法少女で体現するとこうなるという清々しい物語だった。仏頂面のライバルが最後には笑顔になるというのもお約束ではあるが後味のスッキリした展開だった。原作には続きがありそうなので、またいつか、アニメでこの続きが観たいものだ。

○「正反対な君と僕」第2期
 登場人物のモノローグで進行していく作品、そういえば若い頃はこんなことで悶々としていたな...と、今の若い子たちもそうなんだよなと、想像することしかできないが、でもこの作品に人気があるというのはそういうことなんだろうなと思う。アクションとか、映像で魅せるところはほぼ無いのだが、心がきゅんとするのはどう表現したものだろうか。

○無自覚聖女は今日も無意識に力を垂れ流す
 無自覚聖女と溺愛皇子、令嬢姉妹の確執など、よくある設定とストーリーであるが、まあ、サザエさんや水戸黄門みたいなもんだと思えば納得。高橋李依の声が実にあざとい。

・捨てられ聖女の異世界ごはん旅 隠れスキルでキャンピングカーを召喚しました
 御都合設定のほのぼの異世界転生枠。細かい所にはこだわらない、人は死なない、ご飯がおいしそうでみんながハッピー。あんまり何も考えずにぼーっと見ていられる、週の半ばにはこんなアニメで一休み。

・領民0人スタートの辺境領主様
「気は優しくて力持ち」を全肯定するほのぼのコメディ。もっとどんどん国を大きくして大反映させるのかと思っていたが、魔法とか奇跡とかに頼らず、主人公の人格で少しずつ仲間が増えていくという話だった。アア、ソンナヒトニ、ワタシハナリタイ

・ブチ切れ令嬢は報復を誓いました。 ~魔導書の力で祖国を叩き潰します~
 
これもいわゆる「追放もの」なのだろうが、復讐が爽快なものだけでなく、胸糞悪い殺人劇もあって、あまりスッキリしない。本当の復讐というのはこういうものなのかもしれないが、甘いと言われてもそんなにシリアスにならず、リベンジ劇を楽しみたいものだ。

・ここは俺に任せて先に行けと言ってから10年がたったら伝説になっていた。
 最強主人公が無双する剣と魔法世界の物語。取り立てた推しポイントは無いのだが、今期の“何となく見続けてしまった”枠。

2026年6月30日火曜日

2026年4~6月アニメ振り返り

 今回は各曜日それぞに注目作品が分散していて、結果的に全話視聴していたのは12作品といつもより少なかったものの、無理なく観られてちょうど良い本数だったと思う。ただ、気になりながら視聴を逃してしまった作品も少なからずあるので、それはこれからまとめて視聴することになるかもしれない。

 前クールの「勇者刑に処す」で注目したStudioKAIが「スノウボールアース」と「氷の城壁」という全くテイストの異なる2作品を投入してきて、どちらも安心して楽しめる作品に仕上がっていた。他にも作画やストーリー演出のすぐれた作品が多く、満足度は高かった。



◎春夏秋冬代行者春の舞
 ヴァイオレットエバーガーデンと同じ作者によるという、世界観の構築が素晴らしい作品。季節の代行者とその従者の絆の物語で、緻密に組み立てられたストーリーが息を切らさずクライマックスに向けて盛り上がって行く。作画やアクション、演出も美しい。主題歌作曲がOrange Star という、かつてニコニコ動画で活躍していたボカロPなのも懐かしく喜ばしい。


◎とんがり帽子のアトリエ
 魔法を「不思議な訳のわからないもの」ではなく、「仕組みを理解すればだれでも使える技術」と捉えて、それが物理法則として存在する世界の物語を組み立てている。作画はイラスト集を見ているように緻密で繊細、それに躍動感のあるモーションが付く、非常に高品質な作品だ。物語にも惹き込まれる。早く続きが見たい。

〇杖と剣のウィストリア シーズン2
 相変わらずアクションが派手で見応えがある。ウィルがいつまで経っても魔法学院では劣等生で、異端でありながらそれを剣の素質と意地と根性で乗り越えていく熱い物語だ。エルフィーが手の届かない天上世界のお姫様だったのが、手の届くところまで来てしまった。まだまだ苦難と戦いは続く。

〇Dr.STONE SCIENCE FUTURE 第3クール
 ラストに大バトルが始まるかと思ったらやけにあっけなく終わってしまった。結局この物語は、石化の謎を解くことではなく、0から知恵と工夫で科学技術を元に文明を築き上げていくというプロセスが面白いのだった。いろいろとツッコミどころはあるものの、エンターテインメントとして楽しめる構成になっていた。原作の発想に最大の賞賛を送りたい。

〇あかね噺
 今どきの女子高生が父親のあだ討ちのため、落語の世界に邁進していく、成長物語。1クールで一区切り綺麗にまとめてくれた。半年後にオンエアされる第2期も楽しみだ。ただ、個人的には桑田佳祐による主題歌は話題性はあるものの、あまり好きにはなれなかった。

〇氷の城壁
 前クールの日5でやっていた「正反対な君と僕」と同じ原作者の作品のようで、登場人物は違うものの登場人物の考え方やキャラクターのデフォルメのしかたなどが同じだ。それぞれの悩みを抱えながらも青春っていいなぁ、という作品だ。ああ、甘酸っぱい。

〇上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花
 ほのぼの日常系アニメかと思えば、心理描写の重い百合アニメだった。第1話を見たときにはキャラクターが「ヤマノススメ」?と思ってしまった。その後、毎回作画テイストが大きく変わるものの、作画品質や演出のクオリティは高い、これはこのアニメスタジオの実験作なのではと思わせるような作品に仕上がっていた。実写でも十分に仕上げられそうな内容だからこそ、アニメならではの試みを取り入れてくれるのは良いことだと思う。

〇スノウボールアース
 現在のアニメのトレンドである「コミュ障の主人公が隠れた才能を発揮してヒーローになる」話を、怪獣・ロボットバトルと地球の全球氷結とミックスした話。CGアニメなのか、CG手書きハイブリッドなのか、若干人物の表情や動きに作り物らしさは感じるものの、安定したクオリティで仕上げている。まだ1エピソードが終わっただけで、今後の展開が楽しみだ。

〇淡島百景
 第一話で入学してきた女の子が主人公だとばかり思っていたが、そうではなく、ストーリーテラーだった。舞台となっている「淡島歌劇学校」に亡霊のように塗りこめられ、誰もがあえて触れようとしなかった、歴史にかき消されようとしていたモヤモヤを昇華させようと手繰って行く話だった。監督は浅香守生、「カードキャプターさくら」の人だ。年齢を重ねて、いぶし銀のような深い演出が見事だ。

〇異世界のんびり農家2
 のんびりほっこり枠、いろんなことが順調に進んで行く幸せ物語。私もさっさと仕事をリタイヤして菜園の世話をしながらのんびりと過ごしたいなぁと思うのだった。

〇悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。Season2
 第1クールの再放送を冬クールに観ていたので、その続きで一続きの話として観ることができた。悪役令嬢というか、極悪王女ものなのだが、「私の知っている筋書きと違う」という部分の謎解きがあまり明確にならず、単なる王国経営物語になってしまっているような気がする。それはそれで面白いと思うのだが、フリージア王国の超能力がご都合主義の取って付けたような設定で物語の深みが欠けているように感じる。

〇涼宮ハルヒの憂鬱(再放送)
 いにしえの名作の再放送なのだが、あらためて見ると最近のアニメには無い、面白さがある。絵柄が若干古い気もするが、原作の良さに手書きの力強さと声優の演技が光る。これぞセカイ系の傑作と言ってよいだろう。結局ワンクール丸々観てしまった。


2026年4月1日水曜日

2026年1~3月アニメ振り返り

 今期は2期、3期が安定して質の良い作品を送り出してくれた。声優も「この人がこんな役をやっているんだ」と驚くものがいくつかあった。全体的にクオリティは高かったと思う。


◎メダリスト 第2期
 1期が終わって2期予告の辺りでは作画が変わるのではないかとやや不安を覚えていたが、始まってみれば作画もアクションも見事だった。脚本は信頼と実績の花田十輝!盛り上がってきたが、次は2027年の映画なのか、待ち遠しい。

◎葬送のフリーレン 第2期
「誰かの故郷を守る旅」というのがこのクールのテーマのようだ。フリーレンは他の作品とは違う独特の雰囲気を持っていて唯一無二で比較ができない。けれども素晴らしい作品であることは間違いない。1級魔法使い試験の登場人物が要所で活躍してくれるのが嬉しい。次は半年先のようだ。楽しみに待とう。

◎【推しの子】第3期
 原作は読んでいないが、実写ドラマは観たので大まかなストーリーはわかっている。その上で、アニメならではの映像と声優の演技でサスペンスを盛り上げている。ただ、ツクヨミの存在が、ストーリーを嘘っぽくしてしまっているのが残念。これは多分原作がそうだからなのだろうが、何だかしっくりこない感じ。ここから更に1クールかけて完結するようだが、まだまだ波乱が待っていそうだ。


◎勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録
 勇者、魔王、フェアリーの定義をことごとく塗り替えて、斬新な展開と迫力のアクションで楽しませてくれた。この1クールでは、まだまだプロローグに過ぎない。あと3クールぐらいかけてしっかり話を進めてほしい。

◎お気楽領主の楽しい領地防衛~生産系魔術で名もなき村を最強の城塞都市に~
 子ども領主がチート能力と人望と精鋭の取り巻きの力で町(国)を繁栄させていく物語。絵が可愛いらしく、展開もリズムが良く楽しめた。変に続編に繋げようとする終わり方でもなく、好感が持てた。オープニングテーマ-はヒャダイン節全開、楽しい作品だった。

◎姫様“拷問”の時間です 第2期
 まさか第2期があるとは思っていなかったが、勢いは衰えずニコニコできた。作画は綺麗だし、沢山の登場人物がそれぞれ生き生きと動いている。タイトルとは裏腹で、思わず突っ込みたくなるところをちゃんとエクスが冷静にツッコんでくれる。きちんとツボを心得た演出だった。

○正反対な君と僕
 日5でラブコメってどうなの?って思っていたが、思っていた以上に面白かった。主人公の二人だけでなく、その周囲のいろいろな人物がそれぞれ複雑な思いを抱えながら、前を向いている。そして誰も悪者にしない、なんてハッピーなアニメなんだろう。エンディングの斜めスクロール、どこかで見たような気がするんだが、思い出せない。ところで、ガパチョって誰?

○違国日記
 「自分らしく生きる」とはどういうことか、登場人物の様々な行動を通して考えさせられる作品。淡々と時間が流れていく中で、各自がそれぞれ影響を受けながらいろんなことに気付いていく、それが繰り返されるだけだが、生きるって結局そういうことだと気付く。実写映画もあるようなのでそれもそのうち観てみたい。

○ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-(第2期)
 ヒロアカのサイドストーリーとして綺麗に終結したと思ったら、Cパートが続編への引きになっていて、ヒロアカ本編を見続けられなかった身としては少々複雑な気分になった。原作がある作品なので、それをねじ曲げるわけにはいかないが、いろんな登場人物を主人公にして、いろんなサイドストーリーを見せてほしいというのが本音だ。

○死亡遊戯で飯を食う
 不思議な雰囲気の作品だった。人形のようなキャラクター、主線の薄い平面的な切り絵のような絵、上下が断ち切られた横に長い画面、説明の少ない、会話で進む物語、カウントアップしていく数字。これは、とあるあるいかれた世界の話。人が死んだり、殺したりする残酷なシーンを「防腐処理」によって、ぬいぐるみが壊れて行くような感覚で見せている。前衛芸術作品を見ているようだった。

○シャンピニオンの魔女
 前半は黒魔女ルーナの悲しみ、後半は「呪いの子」の悩みを描いた、絵本のようなお話。どんなに強く願っても叶わぬ理(ことわり)に、苦しみながら、それを受け入れて生きていくという、悲しくも純粋な恋物語。

○「お前ごときが魔王に勝てると思うな」と勇者パーティを追放されたので、王都で気ままに暮らしたい
 追放系と百合ものと悪魔と教会と…あれこれ詰め込んだ作品だが、「私たちの戦いはこれからだ!」エンドでまったくもってスッキリしない。主人公が可愛いから何とか最終話まで見てしまったが、それほど面白くも感動的でもない。唐突にナレーションが流れ、違和感を感じるのだが、小説原作をきちんとアニメに落とし切れていないようにしか思えない。

○綺麗にしてもらえますか。
 記憶喪失の主人公の謎が徐々に明かされていくミステリー仕掛けのストーリーかと思っていたら、そんな要素はほぼ無かった。過去のしがらみを一切絡めないようにという設定のようだ。絡んでくる男子高校生との関係も中途半端だし。原作はそこそこの巻数出ているので今後何か進展があるかもしれないのだろうが、アニメは心温まるほのぼのストーリーだった。

○エリスの聖杯
 ヨーロッパ中世ミステリーなのだが、亡霊が出てきてしまっては何でもありになってしまう。ファンタジーだ。制作は「葦プロ」懐かしい、ミンキーモモを造っていたスタジオなのだが、未だに現役だったとは。また、主人公コニーの声優が市ノ瀬加那で、時折フェルンのイメージがちらつく。

○ダーウィン事変
 これはヒューマンジー、チャーリーの物語ではなく、それを取り巻く様々な思想を持つヒトの抗争を描いた作品だ。ヒューマンジーの存在だけがフィクションでそれ以外の物語の展開は全く現実の世界そのものだ。舞台がアメリカなのも自分にとっては「アメリカだったこんなことがあるかもしれない」というリアリティを想起させる。

○魔術師クノンは見えている
 人気声優の早見沙織が主人公の少年クノンの声を当てていて、それが主人公の歯の浮くようなセリフを嫌味に感じさせない所はなかなか秀逸。作画もストーリーも特筆すべきところは無いように感じるが、次にどんな展開が来るのか読めないので、ついつい続けてみてしまった。

○勇者パーティを追い出された器用貧乏
 勇者パーティーの雑用係が実は最強だったという、よくあるファンタジー世界の物語。本当は1クール完結の予定が、続編制作が決定したものだから、最終話近くになって新キャラや新設定が出てきてまとまりのない結末になってしまったという雰囲気がプンプンだった。スッキリと完結させてくれ。

○29歳独身中堅冒険者の日常
 結婚していない中年(?)男性が幼女を拾って親のように育てるという、割とありがちな筋書きだ。その女の子が冒険者にあこがれているサキュバスというのがこの物語のオリジナリティなのだろう。心温まるほのぼのストーリーだった。

○悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします(再放送)
 以前、4話ぐらいで切ってしまった作品だが、2期が開始するとのCMを見て、もう一度きちんと見てみようと思った。やはり4話ぐらいで止めてしまいそうになったが、頑張って見続けたら面白くなってきた。これで、4月からの2期も続けて見られるぞ。

2026年1月2日金曜日

2025年10~12月アニメ振り返り

 このシーズン、特別な推し作品というのは無かったが良作は揃っていた。3話~5話ぐらいで見なくなってしまった作品がこの他に数作品あり、巷ではそれなりに評価の高い作品もあるのだが、ま、限られた時間の中ではこれぐらいが適当かな。

 

◎永久のユウグレ
 主人公が機械の身体だった、という展開は「トップをねらえ!2」以来だと思う。それも途中まで、それこそ主人公自身も気付いていなかったという、アッと驚くどんでん返しだった。終盤に種明かしがいろいろと出てくるのだが、それは辻褄合わせで必要なことだったのだろうが、前半の流れから急展開しすぎて前半の物語がかき消えてしまったのが惜しいところ。作画は良いし、深掘りすればいろいろと奥が深い話なのだが、1クールでまとめてしまって、せっかくの舞台設定が十分に生かされないままなのが残念だった。

◎SPY×FAMILY Season 3
 ほのぼのとハードボイルドが交錯するなかなか素晴らしい作品だと思う。もう3期になったのか、主題歌も良いし、作画も高クオリティを保ち続けている。これ、大河ドラマとして延々と続いてくれてもいいぐらいだ。子供からお年寄りまで楽しめる、お奨めできる作品だ。


◎私を喰べたい、ひとでなし
 死にたい少女と、その少女を生かしたい「ひとでなし」の物語。主人公の心の闇が深すぎて、どこに救いがあるのだろうかと心が痛いが、3人の少女の絵面が美しすぎて、頑張って見続けてしまった。

◎最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか
 ”撲殺ヒロイン”(実際は殺してはいない)という新しいモデルを打ち立てた、なかなかの意欲作。転生してきたのが主人公ではなく敵(に操られたこじらせ女子)という設定も意表をついていた。第1話でぶっ飛ばされて消えてしまったお嬢様がエンディングに出ずっぱりだったので、これどういうこと?と混乱していたが、終盤になって腑に落ちた。

◎グノーシア
 人狼ゲームをSFアニメにしたらこうなったという作品で、いろいろと設定に疑問なところはあるが、思考ゲームだと思えば納得できる。ストーリーがどうのこうのというよりも、ゲームを岡目八目で眺めている感じが楽しい。人が死んでも、ゲームの中の話だからと割り切れる。こういうアニメのジャンル、なかなか面白いかも。

○SANDA
 サンタクロースが忘れ去られ、若さが異常に貴重なものとして扱われる世界、子供の夢を叶えるサンタの末裔が戦いに巻き込まれていく。アニメーション制作はサイエンスSARU、個性的な作品を世に送り出しているスタジオでなかなかな緊迫感と迫力のアクションが見ものだった。1クールで終了してしまったが、まだ話の途中だよね。

○終末ツーリング
 ポストアポカリプス少女旅行記。多分原作がまだ終了していなくて、ネタバレできないからなのだろうが、世界が破滅してしまった原因や、この主人公たちが何者なのか全く明かされないまま最終回を迎えてしまった。見知った風景がどのように変わってしまったのか、興味をひかれる部分も多々あるのだが、やはりこういうお話はだんだん種が明かされて「ああ、そうだったのかぁ」と思わされるところまできちんと描いてほしいのだ。

○悪食令嬢と狂血公爵
 「変わり者」の女の子がそれを受け入れてくれるイケメン王子様に熱愛されるお話。この作品では主人公の女の子が魔物を食べる、というダンジョン飯のような設定で飽きさせない工夫がされていた。最初に王子様が出てきたので、あとはハラハラせずに安心してみることができた。

○野生のラスボスが現れた!
 自分がプレイしていたゲームの世界に転生した主人公が、ゲームでやり残したことをゲームの中のキャラクタになりきって遂げていくという、異世界転生ものではよくありそうなストーリーなのだが、この世界への転生に違和感を感じる主人公がその謎を少しずつ紐解いていく過程がミステリィテイストで惹き込まれる。1クールかけてでやっと主人公の目指すものが見えてきた。第2期にも期待したい。

○機械じかけのマリー
 トンデモ設定のラブコメ。荒唐無稽すぎるからかえって清々しい。あれこれ考えずにニコニコしながらぼーっと観られるアニメ。沢山アニメを観ている中にこういうのがあってちょうど良い。

○千歳くんはラムネ瓶のなか
 制作上の都合で途中3週ブランクがあったものの、作画が崩れたり話のつじつまが合わなくなったりせず高いクオリティで仕上げられているのが立派。ただ、ストーリー(テーマ)は、「美男美女もそれなりに悩みや葛藤があるんだよ」と、ポエムで語りかけてくる、物語(シナリオ)としてはよくできていると思うが、共感はできない。


○暗殺者である俺のステータスが勇者よりも明らかに強いのだが
 最近エルフが悪者として描かれる話が多くなってきた中で、ここではエルフのお姫様が美しく魅力的に描かれている。はぐれ者の主人公だけがダークヒーローとして活躍しているが、一緒に召喚されてきたクラスメイトが置いてきぼりで、集団召喚の設定が上手くいかされていないように思う。続きがあればそのあたりも上手にまとめてくれるのだろうか。

○転生悪女の黒歴史
 中二病あるあると物語の世界の悪役令嬢への転生。難しいことを考えずに単純にコメディーとして楽しめた。女オタクの黒歴史振り返りが楽しい。

○信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します!
 やたら長いタイトルの追放系復讐譚。タイトルの『無限ガチャ』というのが、あまり生かされていないというのが率直な感想。最強となった主人公が復讐に燃える筋書きなのだろうが、アニメ化にあたって、主人公が望む残酷な復讐シーンの描写は憚られるものだから、「悪いのは差別で世界じゃない」と、世直しを始める、何だか中途半端な展開になってしまった。

○素材採取家の異世界旅行記
 ファンタジー世界で欲のない主人公がその知恵と能力を生かして周囲を幸せにしていく。よくある筋書きだが、あまり気を張らずにぼんやりと観るのに良い作品だった。他にめぼしい作品が無い曜日に放映されていたので、なんだか最後まで見てしまった。

△無職の英雄 ~別にスキルなんか要らなかったんだが~
 努力は才能に勝るという筋書きなのだろうが、結局無職の主人公も親の才能を受け継いだオールマイティーな最強キャラクターだったという、本末転倒なテーマになってしまって、全く共感も教訓も感じられない、後に何も残らないお話だった。

△味方が弱すぎて補助魔法に徹していた宮廷魔法師、追放されて最強を目指す
 ずっと作画の品質は低かったが、最終回ぐらいは気合入っているかと思ったら残念な画だった。主人公アレクが追放された元パーティーを見返すくだりは前半で終わってしまって、後半はダンジョンで最強の剣士と戦う話で、ストーリーの一貫性がなく、特に目新しさもないストーリーだったように思う。話は、まだ続きそうな引きではあったが、もういいです。